サイト内検索

検索結果 合計:15件 表示位置:1 - 15

1.

間質性肺炎合併肺癌の薬物療法、改訂GLの推奨は?/日本呼吸器学会

 間質性肺炎(IP)には肺癌が合併することが多く、IP合併肺癌に対する治療は急性増悪を引き起こすことが問題になる。近年、肺癌の薬物療法は免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が主流となり、IP合併肺癌に対する薬物療法について、さまざまな検討がなされている。2023年4月に改訂された特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)では、これらのエビデンスを基に、合併肺癌に関して新たに3つのCQ(クリニカルクエスチョン)が設定され、合計6つとなった。合併肺癌に関するCQと関連するエビデンスについて、岸 一馬氏(東邦大学医学部内科学講座 呼吸器内科学分野 教授)が第63回日本呼吸器学会学術講演会で解説した。改訂GLの合併肺癌に関するCQと推奨 特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)は、慢性期、急性増悪、合併肺癌、肺高血圧症、進行期の5つのセクションで構成され、今回から肺高血圧症と進行期が追加された。合併肺癌に関するCQは3つ追加された(CQ20-1、20-2、21)1)。 IP合併肺癌のCQとポイントは以下のとおり。CQ17:IPF(特発性肺線維症)を含むIP合併肺癌患者に外科治療は推奨されるか? 方向性:行うことを提案(一部の患者には合理的でない可能性がある) 推奨の強さ:2(弱) エビデンスの強さ:C(低) 本邦において、IP合併例肺癌手術例の予後を調べた研究では、StageIAであっても5年生存率が59%にとどまっていたことが報告されている2)。その理由として、術後急性増悪による死亡の多さがある。IP合併肺癌1,763例を対象とした後ろ向き研究では、急性増悪が9.3%に発現し、死亡率は43.9%であった3)。術後急性増悪のリスク因子からリスク予測モデルが作成され、その有用性を検討した前向きコホート研究REVEAL-IP Studyが実施された。その結果、術後急性増悪は1,094例中71例(6.5%)に発現し、そのうち39.4%が死亡したが、後ろ向き研究時よりも改善傾向にあった。CQ18:IPFを含むIP合併肺癌患者に術後急性増悪の予防投薬は推奨されるか? 方向性:行わないことを提案(一部の患者には合理的でない可能性がある) 推奨の強さ:2(弱) エビデンスの強さ:C(低) 本邦において、ステロイドなどの術前予防投薬を行っても術後急性増悪の発現率は低下しないことが報告されている3)。その後、少数例の検討ではあるがピルフェニドンが術後急性増悪の発現リスクを低下させることが報告され、現在IPF合併肺癌患者を対象として周術期ピルフェニドン治療の有用性を検討する無作為化比較試験が実施されている4)。CQ19:IPFを含むIP合併肺癌患者に細胞傷害性抗がん薬は推奨されるか? 方向性:行うことを提案(一部の患者には合理的でない可能性がある) 推奨の強さ:2(弱) エビデンスの強さ:C(低) 本邦において、IP合併非小細胞肺癌(NSCLC)に対する初回化学療法の前向き試験が複数実施されており、急性増悪の頻度は12%以内で、近年は全生存期間中央値(MST)が15ヵ月を超えている。また、2022年12月には、化学療法とBest Supportive Care(BSC)を後ろ向きに比較した研究結果が報告された。傾向スコアマッチングを行っても、化学療法群はBSC群と比較して全生存期間(OS)が有意に延長した5)。CQ20-1:IPFを含むIP合併肺癌患者に血管新生阻害に関与する分子標的治療薬は推奨されるか? 方向性:行うことを提案(一部の患者には合理的でない可能性がある) 推奨の強さ:2 エビデンスの強さ:D(非常に低) エビデンスは少ないものの、化学療法にベバシズマブを上乗せしても急性増悪の発現は増加せず、無増悪生存期間(PFS)を延長する傾向が報告されている。また、推奨の決定に関するシステマティックレビューには含まれなかったが、世界で初めてIPF合併NSCLCを対象にニンテダニブの化学療法への上乗せ効果を検討した国内第III相無作為化比較試験(J-SONIC試験)の結果が本邦から報告された。主要評価項目の無イベント生存率(EFS)について、化学療法+ニンテダニブ群は化学療法群と比較して有意差は認められなかったが、奏効率(ORR)は化学療法群が56.0%であったのに対し、化学療法+ニンテダニブ群は69.0%と有意に高かった(p<0.05)。また、PFSについて、中央値は化学療法群が5.5ヵ月であったのに対し、化学療法+ニンテダニブ群は6.2ヵ月であり、有意に延長した(ハザード比:0.68、95%信頼区間[CI]:0.50~0.92)。OSについては、全体では両群間に有意差はなかったが、非扁平上皮NSCLC、GAP StageIのサブグループにおいて、化学療法+ニンテダニブ群が有意に改善した。急性増悪の頻度は、化学療法群1.6%、化学療法+ニンテダニブ群4.1%、全体でも2.9%と低かった6)。CQ20-2:IPFを含むIP合併肺癌患者にドライバー遺伝子変異に対する分子標的治療薬は推奨されるか? 方向性:行わないことを提案または推奨 推奨の強さ:現段階では結論付けない エビデンスの強さ:D(非常に低) 推奨の強さについて、現段階では結論付けないとされた。これについては、パネル委員の全員が投与しないことを提案または推奨したが、一定の基準に達しなかったため、推奨の強さは決定されなかった。このような推奨となった一因として、日本人の肺癌患者を対象としてゲフィチニブと化学療法を比較した試験において、ゲフィチニブ群で間質性肺疾患(ILD)の頻度が高く(ゲフィチニブ群4.0%、化学療法群2.1%、オッズ比[OR]:3.2)、ILDによる死亡率が30%を超えたことなどが挙げられる7)。CQ21:IPFを含むIP合併肺癌患者に免疫チェックポイント阻害薬は推奨されるか? 方向性:行わないことを提案(一部の患者には合理的でない可能性がある) 推奨の強さ:2 エビデンスの強さ:D(非常に低) IP合併肺癌に対するICIの効果を検討したメタ解析の結果が報告されている。10試験(ILDのある患者179例)が対象となり、そのうち8試験が本邦の報告であった。ORRについて、ILDのある群(34%)はILDのない群(24%)と比較して有意に良好であった(OR:1.99、95%CI:1.31~3.00)。一方、ILDのある群は免疫関連有害事象(irAE)の発現率が有意に高率であった(OR:3.23、95%CI:2.06~5.06)。ICIによる肺臓炎についても、ILDのある群(全Grade:27%、Grade3以上:15%)はILDのない群(同10%、4%)と比較して有意に高率であった(OR:2.91、95%CI:1.47~5.74)8)。また、びまん性肺疾患に関する調査研究班は、IP合併肺癌におけるICIの薬剤性肺障害に関する後ろ向き研究を実施した。その結果、200例が対象となり、薬剤性肺障害は30.5%に認められた(Grade3以上:15.5%、Grade5:4.5%)。多変量解析の結果、重篤な薬剤性肺障害の危険因子として、IPFあり、IP診断時のSP-D(肺サーファクタントプロテインD)値高値、ICI投与前のCRP値高値が同定された。また、irAEが発現した患者はPFSとOSが有意に良好であり、IP非合併NSCLCにおける過去の報告と一致していた。IP合併肺癌に関する現状のまとめ 岸氏は、IP合併肺癌に関する現状について、以下のようにまとめた。・日本からIP合併肺癌に関するステートメントと特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)が発刊された。・IP合併肺癌の発生予防、治療による急性増悪に関して抗線維化薬の有用性が報告された。・IP合併進行NSCLCに対してカルボプラチン+タキサン、小細胞肺癌(SCLC)に対してプラチナ製剤+エトポシドは標準治療と考えられる。・IP合併肺癌に対するICIにより約30%に薬剤性肺障害が生じるが、比較的良好な治療成績が報告されている。・IP合併肺癌の治療は、リスクとベネフィットを慎重に検討し、患者の希望も踏まえて決定することが重要である。特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)編集:「特発性肺線維症の治療ガイドライン」作成委員会定価:3,300円(税込)発行年月:2023年4月判型:A4頁数:140頁■参考文献1)「特発性肺線維症の治療ガイドライン」作成委員会編集. 特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版). 南江堂;20232)Sato T, et al. J Thorac Cardiovasc Surg. 2015;149:64-70.3)Sato T, et al. J Thorac Cardiovasc Surg. 2014;147:1604-1611.4)Sakairi Y, et al. J Thorac Dis. 2023;15:1489-1493.5)Miyamoto A, et al. Respir Investig. 2023;61:284-295.6)Otsubo K, et al. Eur Respir J. 2022;60:2200380.7)Kudoh S, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177:1348-1357.8)Zhang M, et al. Chest. 2022;161:1675-1686.

2.

FDAがオピオイド過剰摂取に対するOTC医薬品を初承認

 米食品医薬品局(FDA)は3月29日、スプレー式の点鼻薬ナロキソン塩酸塩(商品名Narcan)を、処方箋不要のOTC医薬品として初めて承認した。オピオイド過剰摂取の影響を速やかに抑える作用を持つNarcanは、オピオイド過剰摂取の標準治療法とされている。 米国では、薬物の過剰摂取が公衆衛生上の大きな問題となっている。2022年10月までの12カ月間に報告された、違法なフェンタニルなどの合成オピオイドを中心とする薬物の過剰摂取による死亡の発生件数は、10万1,750件以上に上るという。 FDAコミッショナーのRobert Califf氏は、「今回のNarcanのOTC医薬品としての承認は、Narcanへのアクセスを改善して同薬剤を入手できる場所を増やし、米国でのオピオイド過剰摂取による死亡を減らすのに役立つ。われわれはNarcanの製造販売会社に、できるだけ早く手頃な価格でNarcanを入手できるようにすることで、製品へのアクセス性を優先するように促している」と述べる。 Narcanを製造している米メリーランド州のEmergent BioSolutions社は、FDAの承認発表後に出した声明の中で、価格については言及していない。しかし、同社の社長兼CEOであるRobert Kramer氏は、「われわれは、米国でのオピオイド過剰摂取の発生率が憂慮すべきものになっていることに鑑み、この重要な緊急治療へのアクセスを広めようと努めてきた。その成果である今回の承認は、当社にとって歴史的な節目となるものだ」と同社のニュースリリースで述べている。 オピオイド依存症の人がこの点鼻薬を使用すると、体の痛み、下痢、心拍数の増加(頻脈)、発熱、鼻水、くしゃみ、鳥肌、発汗、あくび、吐き気または嘔吐、神経質、焦燥感やイライラ感、震え、腹部のけいれん、脱力、血圧上昇を特徴とする、重度のオピオイド離脱症状が生じる可能性がある。 Narcanは、2015年に処方薬として初めてFDAに承認された。医薬品のステータスを処方薬から非処方薬に変更するプロセスにおいて、Emergent BioSolutions社は、ラベルに記載された通りに使用すれば、この薬剤が安全かつ有効であることを示すデータを提供した。また、医療従事者が監督していなくても、消費者がNarcan点鼻薬の安全かつ効果的な使用方法を理解できることも示した。同薬剤の承認申請には優先審査資格が与えられ、2023年2月に開催された諮問委員会では、全会一致で処方箋なしでの販売承認の推奨が決定された。 FDAの非処方薬部門の安全性担当副部長であるJody Green氏は、「われわれは、今回の承認がオピオイド過剰摂取に対する治療薬へのアクセス拡大に役立つと確信している」と述べている。またAP通信は、同氏が「この承認を受け、Narcanは自動販売機、コンビニエンスストア、スーパーマーケットで販売できるようになるだろう」との見方を示したことを報じている。

3.

第22回 痛み診療のコツ・治療編(2)光線療法(1)【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第22回 痛み診療のコツ・治療編(2)光線療法(1)前回は、知覚神経と交感神経を同時にブロックする代表的な応用範囲の広い硬膜外ブロックについてお話しました。今回は、理学療法の中でもとくに高齢患者さんに好まれている光線療法ついて述べたいと思います。高齢社会を反映して、帯状疱疹後神経痛や脊椎術後疼痛症候群など本来の疾病が治癒した後に、強い痛みだけが取り残されることも稀ではありません。いわゆる難治性慢性疼痛患者さんの数が、高齢者の人口の増加に比例して急激に増加しています。痛みを訴える患者さんにおいては、病態は類似していても、痛みの性質や程度は個々の患者さんによって実に多様です。そのために、疼痛緩和療法も神経ブロック療法、薬物療法、各種理学療法、インターベンショナル治療など患者さんに合った有効な治療法に苦慮する機会も少なくありません。とくに最近では、高齢者を含めて血液抗凝固薬を服用する患者さんが増加しており、神経ブロックを回避しなくてはならない状況も少なくありません。しかも、痛みで悩まされている患者さんにとっては、より痛みの少ない治療法を望む声も多く見られます。このような背景を考慮すると、疼痛を訴えられている患者さんにとって光線療法は非常に有用な治療法であり、痛みの緩和を得られる機会も想像以上に多くみられます。今回はこの光線療法について解説いたします。光線療法機器の分類(1)低出力半導体レーザーGa-Al-As半導体をレーザー光源とした低出力半導体レーザーには、ソフトレーザリーJQ310、マルチレーザー5 MLF-601、メディアレーザーソフトパルス10などが市販されています。(2)ハロゲンランプ治療器自然灯の一種、ハロゲンランプを光源として、フィルターによって近赤外線のみを出力する装置です。アルファビームALB-200H、スーパーライザーHA-2200LEシリーズ、スーパーライザーPXシリーズのほか、家庭用としても使用できるスーパーライザーminiシリーズなどが使用されています。また、最近では、スーパーライザーPXシリーズも市販され、さらに性能を上げています。(3)キセノンライト治療器ストロボライト光源のキセノン励起光を利用したキセノンライトは、可視光よりも近赤外光を多く発光するので、近赤外線光源として利用されています。ベータエクセルXe10は、パルスモードを有する上、低周波通電機能もあり、光線療法と低周波治療を同時に施行できる特徴があります。光線療法の鎮痛作用機序レーザーの生体への影響は熱作用、光作用が基本になっています。その作用により、以下の効果が期待されています。(1)血流改善作用レーザー光による血管への直接作用、交感神経反射の減弱化、軸索反射による血管拡張などが考えられています。(2)神経伝達抑制作用脊髄後根線維の自発放電発射増加の減少作用、C線維の脱分極の抑制作用などが報告されています。(3)抗炎症作用関節リウマチ患者さんの膝関節滑膜炎症所見が、レーザー照射によって軽減されることが報告されています。(4)創傷治癒作用創傷治癒の促進が実験的、臨床的に認められています。(5)下行性疼痛抑制系の賦活ナロキソンによりレーザー鎮痛効果が抑制されることから、内因性オピオイドや、下行性疼痛抑制系の関与が考えられています。(6)その他神経細胞膜の安定化作用、免疫機能の賦活、筋緊張の緩和などが認められており、鎮痛作用の補助になりそうです。レーザー治療の対象疾患レーザー治療の鎮痛作用機序から考えて、以下のような疾患に有効性が認められています。 帯状疱疹痛、帯状疱疹後神経痛、筋・筋膜性疼痛、頭痛、外傷性頸部疼痛症候群、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、腰痛症、術後疼痛症候群、非定形顔面痛、関節リウマチ、肩関節周囲炎、膝関節症などで、実に多岐にわたっています。初期の疼痛緩和療法を怠ると、一生痛みが持続することも稀ではありません。できるだけ早期に鎮痛対策をとることが、その後の痛みの遷延を和らげるという認識が大切です。光線療法が疼痛治療の一環として取り入れられ、多少なりとも痛みに苦しむ患者さんの疼痛緩和療法に役立てられれば幸いです。次回は、痛みとリハビリテーション療法について説明したいと思います。1)花岡一雄他. 日本医師会雑誌.2012:140;2352-23532)花岡一雄他監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:S177-178

4.

オピオイド使用障害に持効性ブプレノルフィン注が有用/Lancet

 オピオイド使用障害治療の月1回皮下注薬であるRBP-6000(徐放性ブプレノルフィン:BUP-XR)について、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験の結果、プラセボと比較してオピオイド断薬率が有意に高く、忍容性も良好であることが示された。米国・Indivior社のBarbara R. Haight氏らが報告した。BUP-XRは、月1回投与によりオピオイド乱用の薬物嗜好を遮断するブプレノルフィン血中濃度を維持し、同時に離脱症状や渇望症状をコントロールすることから、医療現場ではBUP-XRの投与が中毒や乱用等も軽減することが期待されていた。Lancet誌2019年2月23日号掲載の報告。BUP-XRの2つの用量についてオピオイド断薬率をプラセボと比較 研究グループは2015年1月28日~11月12日に、米国の36施設で、18~65歳の治療を要する中等度~重度オピオイド使用障害(DSM-5)患者を、ブプレノルフィン/ナロキソン舌下フィルム剤による最長2週間の非盲検導入試験に登録し、その後、適格患者についてBUP-XR300mg/300mg(300mg×6回注射)、BUP-XR300mg/100mg(300mg×2回+100mg×4回注射)、またはそれぞれのプラセボ群に4対4対1対1の割合で音声自動応答/Web応答システムを用いて無作為に割り付けた。いずれも28日ごとに投与するとともに、個別に週1回の薬物療法のカウンセリングを行った。ブプレノルフィンの追加投与は不可とした。 有効性の主要評価項目は、尿検査陰性および5~24週におけるオピオイド不正使用の自己報告で確定したオピオイド断薬率である。オピオイド断薬率は、プラセボ5%に対しBUP-XR両群で約41~43% スクリーニングされた1,187例中665例が導入試験に登録され、504例がBUP-XR300mg/300mg(201例)、BUP-XR300mg/100mg(203例)、またはプラセボ(各群50例、計100例)の投与を受けた。 オピオイド断薬率(平均±SD)は、BUP-XR300mg/300mg群41.3±39.7%、BUP-XR300mg/100mg群42.7±38.5%、プラセボ群5.0±17.0%であった(BUP-XR両群でp<0.0001)。BUP-XR投与中に非オピオイド系薬の代償的使用は確認されなかった。 主な有害事象は、頭痛(BUP-XR300mg/300mg群8%、BUP-XR300mg/100mg群9%、プラセボ群6%)、便秘(それぞれ8%、9%、0)、悪心(18%、9%、5%)、注射部位の掻痒感(9%、6%、4%)であった。注射部位反応はBUP-XRの投与を受けた患者の5%以上で報告されたが、その多くが軽度で治療を制限するものではなく、BUP-XRの安全性プロファイルはオピオイド使用障害に対する他のブプレノルフィン製剤と一致していた。

5.

パニック症に対する薬理学的および神経調節性治療に関する臨床研究

 パニック症(PD)の治療法は進展しているものの、より効果的かつ忍容性に優れる治療選択肢へのニーズは依然として高い。ブラジル・リオデジャネイロ連邦大学のMorena M. Zugliani氏らは、PDに対する薬理学的および神経調節性治療に関する最近のエビデンスについて検討を行った。Psychiatry Investigation誌2019年1月号の報告。 2010~18年に発表された臨床試験を、主要データベース(MEDLINE、Cochrane Library、PsycINFO、トムソン・ロイターのWeb of Science)を用いて検索した。ランダム化比較試験(RCT)または対象患者10例以上のプロスペクティブ臨床試験を抽出した。 主な結果は以下のとおり。・11論文(RCT:4件、オープン臨床試験:3件、比較臨床試験:5件)が選択基準を満たした。・RCT研究では、2つの試験のうち1つにおいて、経頭蓋磁気刺激(TMS)の有効性が認められた。・ピンドロール、d-fenfluramineは、フルマゼニル誘発性パニック発作に有効ではなかった。・クエチアピン増強療法は、プラセボと比較し、優れた有効性が認められなかった。・オープン試験では、エスシタロプラム、vortioxetine、TMSが有効である可能性が示唆された。・比較試験では、どの薬剤においても有意性は認められなかったが、tranylcypromine、パロキセチン、クロナゼパム、アルプラゾラムが有効な治療選択肢であることが確認された。 著者らは「現在の研究では、tranylcypromine、パロキセチン、クロナゼパム、アルプラゾラム、エスシタロプラムの有効性が確認されている。vortioxetineとTMSも、4週間以上の期間を要するものの有効と考えられる。クエチアピン、ピンドロール、d-fenfluramineでは、有効性が認められなかった」としている。■関連記事パニック症に対する薬物療法のシステマティックレビューパニック症への薬物治療のリスクとベネフィットパニック症に対し第2世代抗精神病薬は有用か

6.

うつ病、治療抵抗性うつ病、自殺行動に対するブプレノルフィンの有効性に関するシステマティックレビュー

 うつ病治療において、いくつかの薬理学的な選択肢が実施可能であるが、抗うつ薬治療を実施した患者の3分の1では、十分な治療反応が得られず、完全寛解には達していない。そのため、抗うつ薬による薬物治療で治療反応が得られなかった、または治療反応が不十分だった患者に対処するための、新たな戦略が必要とされている。イタリア・ジェノバ大学のGianluca Serafini氏らの研究結果によると、オピオイド系が気分やインセンティブの調整に有意に関与しており、新規治療薬としての適切なターゲットとなりうることが明らかとなった。International Journal of Molecular Sciences誌2018年8月15日号の報告。 本研究では、うつ病、治療抵抗性うつ病、非自殺的な自傷行為、自殺行動に対するブプレノルフィンの使用に関する文献についてシステマティックレビューを行った。ブプレノルフィンとうつ病または治療抵抗性うつ病、自殺、難治性うつ病のキーワードを使用し、PubMedおよびScopusのデータベースより検索を行った。 主な結果は以下のとおり。・低用量のブプレノルフィンは、抑うつ症状、重度な自殺念慮、非自殺自傷を軽減するために有効かつ忍容性が高く、安全な選択肢であることが、いくつかのエビデンスにより示された。これは、治療抵抗性うつ病患者においても認められた。・しかし、ブプレノルフィンの長期的な効果や、ブプレノルフィンと特定の薬剤(たとえば、samidorphan、ナロキソン、naltrexone)との併用、ブプレノルフィンの単独療法または標準的な抗うつ薬治療への補助療法による相対的な有効性の評価、ならびに最適な投与間隔についての均一なガイダンスを得るためには、より多くの研究が必要である。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較SSRI治療抵抗性うつ病への効果的な増強療法治療抵抗性うつ病に対する心理的サポートとしてのシロシビンの6ヵ月追跡調査

7.

早産児に対する7つの人工換気療法を比較/JAMA

 早産児に対する非侵襲的人工換気療法について7つの戦略を比較した結果、非侵襲的サーファクタント投与(less invasive surfactant administration:LISA)戦略が最良であることが示された。カナダ・マックマスター大学のTetsuya Isayama氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、月経後年齢36週時点の複合アウトカム(死亡と気管支肺異形成[BPD])の尤度が同戦略で最も低かったという。ただし結果について著者は、「全体的にエビデンスの質が低く、質の高い試験での裏付けに乏しく、所見は限定的なものである」と述べている。JAMA誌2016年8月9日号掲載の報告。7つの戦略の比較検討をシステマティックレビューとメタ解析で 研究グループは、早産児に対する最良の非侵襲的人工換気戦略を明らかにするシステマティックレビューとメタ解析を行った。比較検討したのは7つの戦略で、(1)経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)、(2)挿管・サーファクタント投与の直後に抜管(INSURE)、(3)LISA、(4)非侵襲的間欠的陽圧換気(IPPV)、(5)ネブライザーによるサーファクタント投与、(6)ラリンゲアルマスクエアウェイでのサーファクタント投与、そして(7)機械的人工換気であった。 MEDLINE、EMBASE、CINAHL、Cochrane CENTRALを創刊から2016年6月まで検索。在胎期間33週未満、誕生24時間以内、無作為化前の挿管なしの条件を満たす新生児で、換気戦略の比較が行われていた無作為化試験を選択した。2人の独立レビュワーがデータを抽出し、ベイジアン・ランダム効果ネットワークメタ解析法で統合し評価した。 主要アウトカムは、月経後年齢36週時点の死亡またはBPDの複合であった。主な副次アウトカムとして、死亡、BPD、重症脳室内出血、エアリーク(退院前の気胸または間質性肺気腫を含む)を評価した。LISAの主要アウトカムの発生オッズ比が最も低値 検索により、30試験5,598例が解析に組み込まれた。主要アウトカムの発生は、33%(1,665/4,987例、死亡:505例、BPD:1,160例)。副次アウトカムは、6%(エアリーク、314/5,587例)から26%(BPD、1,160/4,455例)の範囲にわたった。 機械的人工換気(対照)との比較において、LISAの主要アウトカムの発生オッズ比が最も低値であった(オッズ比[OR]:0.49、95%信用区間[Crl]:0.30~0.79)。1,000新生児当たり164例(95%Crl:57~253)減少の絶対リスク差(RD)が認められた(エビデンスの質は中等度)。BPD(OR:0.53[同:0.27~0.96]、絶対RD:133例[同:9~234]減少、エビデンスの質は中等度)、重症脳室内出血(OR:0.44[同:0.19~0.99]、絶対RD:58例[同:1~86]減少、エビデンスの質は中等度)も低値が認められた。死亡(OR:0.52)、エアリーク(OR:0.34)は、エビデンスの質が低かった。 経鼻的CPAP単独(対照)との比較においても、LISAの主要アウトカムのオッズ比が最も低値であった(OR:0.58[同:0.35~0.93]、絶対RD:112例(同:16~190)減少、エビデンスの質は中等度)。エアリークのORは0.24(同:0.05~0.96)、絶対RDは47例(同:2~59)減少であったが、エビデンスの質は非常に低かった。BPD(OR:0.61)、死亡(同:0.61)もエビデンスの質が低く、重症脳室内出血(同:0.43)のエビデンスの質は非常に低かった。 ランキング確率の解析の結果、SUCRA(surface under the cumulative ranking curve)値が0.85~0.94でLISAが最良の戦略であることが示された。ただし、質の高いエビデンスが限定的で、死亡については確固としたことはいえないとしている。

8.

吐下血の出血量を過小評価したため死亡に至ったケース

消化器最終判決判例時報 1446号135-141頁概要慢性肝炎のため通院治療を受けていた43歳男性。1988年5月11日夕刻、黒褐色の嘔吐をしたとして来院して診察を受けた。担当医師は上部消化管からの出血であると診断したが、その夜は対症療法にとどめて、翌日検査・診察をしようと考えて帰宅させた。ところが翌朝吐血したため、ただちに入院して治療を受けたが、上部消化管からの大量出血によりショック状態に陥り、約17時間後に死亡した。詳細な経過患者情報43歳男性経過昭和61年5月20日初診。高血圧症、高脂血症、糖尿病、慢性肝炎と診断され、それ以来昭和63年5月7日までの間に月に7~8回の割合で通院していた。血液検査結果では、中性脂肪461、LAP 216、γ-GTP 160で、そのほかの検査値は正常であったことから、慢性アルコール性肝炎と診断していた。昭和63年5月11日19:40頃夕刻に2回吐血したため受診。この際の問診で、「先程、黒褐色の嘔吐をした。今朝午前3:00頃にも嘔吐したが、その時には血が混じっていなかった」と述べた。担当医師は上部消化管からの出血であると認識し、胃潰瘍あるいは胃がんの疑いがあると考えた(腹部の触診では圧痛なし)。そのため、出血の原因となる疾患について、その可能性が高いと判断した出血性胃炎と診療録に記載し、当夜はとりあえず対症療法にとどめて、明日詳細な検査、診察をしようと考え、強力ケベラG®、グルタチオン200mg(商品名:アトモラン)、肝臓抽出製剤(同:アデラビン9号)、幼牛血液抽出物(同:ソルコセリル)、ファモチジン(同:ガスター)、メトクロプラミド(同:プリンペラン)、ドンペリドン(同:ナウゼリン)、臭化ブトロピウム(同:コリオパン)を投与したうえ、「胃潰瘍の疑いがあり、明日検査するから来院するように」と指示して帰宅させた。5月12日07:00頃3度吐血。08:30頃タクシーで受診し、「昨夜から今朝にかけて、合計4回の吐血と下血があった」と申告。担当医師は吐き気止めであるリンゴ酸チエチルぺラジン(同:トレステン)を筋肉注射し、顔面蒼白の状態で入院した。09:45血圧120/42mmHg、脈拍数114、呼吸数24、尿糖+/-、尿蛋白-、尿潜血-、白血球数16,500、血色素量10g/dL。ただちに血管を確保し、5%キシリトール500mLにビタノイリン®、CVM、ワカデニン®、アデビラン9号®、タジン®、トラネキサム酸(同:トランサミン)を加えた1本目の点滴を開始するとともに、側管で20%キシリトール20mL、ソルコセリル®、ブスコパン®、プリンペラン®、フェジン®を投与し、筋肉注射で硫酸ネチルマイシン(同:ベクタシン)、ロメダ®を投与した。引き続いて、2本目:乳酸リンゲル500mL、3本目:5%キシリトール500mLにケベラG®を2アンプル、アトモラン®200mgを加えたもの、4本目:フィジオゾール500mL、5本目:乳酸リンゲルにタジン®、トランサミン®を加えたもの、の点滴が順次施行された。11:20頃しきりに喉の渇きを訴えるので、看護師の許しを得て、清涼飲料水2缶を飲ませた。11:30頃2回目の回診。14:00頃3回目の回診。血圧90/68mmHg。14:20頃いまだ施行中であった5本目の点滴に、セジラニドを追加した。14:30頃酸素吸入を開始(1.5L/min)。15:00頃顔面が一層蒼白になり、呼吸は粗く、胸元に玉のような汗をかいているのに手足は白く冷たくなっていた。血圧108/38mmHg。16:00頃血圧低下のため5本目の点滴に塩酸エチレフリン(同:エホチール)を追加した。17:00頃一層大量の汗をかき拭いても拭いても追いつかない程で、喉の渇きを訴え、身の置き所がないような様子であった。血圧80/--mmHg18:00頃4回目の回診をして、デキストラン500mLにセジラニド、エホチール®を加えた6本目の点滴を実施し、その後、クロルプロマジン塩酸塩(同:コントミン)、塩酸プロメタジン(同:ヒベルナ)、塩酸ぺチジン(同:オピスタン)を筋肉注射により投与し、さらにデキストランL 500mLの7本目の点滴を施行した。5月13日00:00頃看護師から容態について報告を受けたが診察なし。血圧84/32mmHg01:30頃これまで身体を動かしていたのが静かになったので、家族は容態が落ち着いたものと思った。02:00頃異常に大きな鼾をかいた後、鼻と口から出血した。看護師から容態急変の報告を受けた担当医師は人工呼吸を開始し、ジモルホラミン(同:テラプチク)、ビタカンファー®、セジラニドを筋肉注射により投与したが効果なし。02:45死亡確認(入院から17時間25分後)。当事者の主張患者側(原告)の主張吐血が上部消化管出血であると認識し得たのであるから、すみやかに内視鏡などにより出血源を検索し、止血のための治療を施すべきであり、また、出血性ショックへと移行させないために問診を尽くし、バイタルサインをチェックし、理学的所見などをも考慮して出血量を推定し、輸血の必要量を指示できるようにしておくべきであった。担当医師はこれまでに上部消化管出血患者の治療に当たった経験がなく、また、それに適切に対応する知識、技術に欠けていることを自覚していたはずであるから、このような場合、ほかの高次医療機関に転院させる義務があった。病院側(被告)の主張5月11日の訴えは、大量の出血を窺わせるものではなく、翌日の来院時の訴えも格別大量の出血を想起させるものではなかった。大量の出血は結果として判明したことであって、治療の過程でこれを発見できなかったとしてもこれを発見すべき手がかりがなかったのであるから、やむを得ない。裁判所の判断上部消化管出血は早期の的確な診断と緊急治療を要するいわゆる救急疾患の一つであるから、このような患者の治療に当たる医師には、急激に重篤化していくこともある可能性を念頭において、ただちに出血量に関して十分に注意を払ったうえで問診を行い、出血量の判定の資料を提供すべき血液検査などをする注意義務がある。上部消化管出血の患者を診察する医師には、当該患者の循環動態が安定している場合、速やかに内視鏡検査を行い、出血部位および病変の早期診断、ならびに治療方法の選択などするべき注意義務がある。上部消化管出血が疑われる患者の治療に当たる医師が内視鏡検査の技術を習得していない場合には、診察後ただちに検査および治療が可能な高次の医療機関へ移送すべき注意義務がある。本件では容態が急激に重篤化していく可能性についての認識を欠き、上記の注意義務のいずれをも怠った過失がある。約6,678万円の請求に対し、請求通りの支払い命令考察吐血の患者が来院した場合には、緊急性を要することが多いので、適切な診察、検査、診断、治療が必要なことは基本中の基本です。吐血の原因としては、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍、急性胃粘膜病変、食道および胃静脈瘤破裂、ならびにMallory-Weiss症候群などが挙げられ、出血源が明らかになったもののうち、これらが90~95%を占めています。そして、意外にも肝硬変患者の出血原因としては静脈瘤59%、胃炎8.2%、胃潰瘍5.4%、十二指腸潰瘍6.8%、その他10.2%と、必ずしも静脈瘤破裂ばかりが出血源ではないことには注意が必要です。本件の場合、担当医師が当初より上部消化管からの出血であることを認識していながら、それが急激に重篤化していく可能性のある緊急疾患であるという認識を欠いており、そのため適切な措置を講ずることができなかった点が重大な問題と判断されました。さらに後方視的ではありますが、当時の症状、バイタルサインや血液検査などの情報から、推定出血量を1,000~1,600mLと細かく推定し、輸血や緊急内視鏡を施行しなかった点を強調しています。そのため判決では、原告の要求がそのまま採用され、抗弁の余地がないミスであると判断されました。たとえ診察時に止血しており、全身状態が比較的落ち着いているようにみえても、出血量(血液検査)や、バイタルサインのチェックは最低限必要です。さらに、最近では胃内視鏡検査も外来で比較的容易にできるため、今後も裁判では消化管出血の診断および治療として「必須の検査」とみなされる可能性があります。そのため、もし緊急で内視鏡検査ができないとしたら、その対応ができる病院へ転送しなければならず、それを怠ると本件のように注意義務違反を問われる可能性があるので、注意が必要です。消化器

9.

鎮静薬を使用した内視鏡検査終了後、帰宅途中に交通事故を起こしたケース

消化器最終判決平成14年6月21日 神戸地方裁判所 判決概要胸やけの主訴で上部消化管内視鏡検査を受けた61歳男性。検査の結果、食道裂孔ヘルニアと診断された。検査にあたっては鎮静薬としてミダゾラム(商品名:ドルミカム)10mgを静脈注射し、拮抗薬としてフルマゼニル(同:アネキセート)0.5mgを使用した。ところが、自動車で帰宅途中に意識を失い単独交通事故を起こし、腰椎圧迫骨折、左肋軟骨骨折、左手関節部骨折、右腸骨骨折、両膝打撲、右肩腱板損傷などを受傷。鎮静薬使用についての説明がなかったということで医事紛争へ発展した。詳細な経過患者情報61歳男性。特記すべき既往症なし経過平成10年12月29日胸焼けを主訴として被告病院消化器科を受診し、逆流性食道炎と診断された。平成11年1月24日しばらく通院したのち、2月8日の上部消化管内視鏡検査を予約した。平成11年2月8日検査に際して鎮静薬としてドルミカム®10mgを静脈注射、検査終了後拮抗薬としてアネキセート®0.5mgを静脈注射した。上部消化管内視鏡検査の診断は食道裂孔ヘルニアであった。午前11:40頃検査終了後まもなく自動車で帰宅したが、午前11:40頃、運転中に意識を失い単独交通事故を起こす。診断は腰椎圧迫骨折、左肋軟骨骨折、左手関節部骨折、右腸骨骨折、両膝打撲、右肩腱板損傷などであり、しばらくのあいだ休業を余儀なくされた。ドルミカム®は睡眠導入剤で、速効性があり、その作用持続時間は約2時間とほかの鎮静薬に比べて短く、血中濃度半減期も静注時約2時間となっている。ジアゼパムのような血管痛はないが、鎮静効果が強いため舌根沈下による呼吸抑制に注意が必要である。アネキセート®は、ドルミカム®などベンゾジアゼピンの拮抗薬で、レセプターに結合したベンゾジアゼピンを追い出す作用がある。その血中濃度半減期は約50分とドルミカム®より短い。なお、フルマゼニルは代謝が速く時間とともに受容体占居率が低下し、アゴニストの作用が再び発現するため注意が必要である。当事者の主張患者側(原告)の主張医師、看護師は、胃カメラ検査に当たって睡眠導入剤を使用することについて説明をしたことがなく、また、検査後もその使用の事実および事後の自動車運転の危険性について説明せず、何も知らないまま自動車を運転して交通事故を起こしたのは病院側の責任である。病院側(被告)の主張1.看護師の予約時説明検査の予約時には以下の説明を行った検査前日は、軽い夕食を取り夜10:00以降は検査まで水も食事も取らないでください検査時、薬を使って眠くなるので2~3時間は車の運転をしないでくださいご都合の悪い時には、早めにご連絡ください2.検査当日看護師の説明「内視鏡挿入の刺激などで、吐き気などを起こしやすく辛いため、眠くなる薬を注射し検査を行います。検査後は、目を覚ます薬を注射し、目が覚めますが、また、後で眠くなることがありますので、しばらく休んで帰ってください」3.医師の説明検査前「内視鏡検査は、吐き気が起こると苦しいので、眠くなる注射をしていますがよろしいですか。検査中は眠ってしまいますが、終わったら目が覚める注射をします。ただし、目が覚めても、しばらく眠くなったり、ふらつくことがあるので注意してください」検査後「しばらくをボーとしたり、ふらつくことがあるので気をつけてください」と説明4.検査後看護師の説明「今は目が覚めていても、また、眠くなってくると思いますので、内科診察までの間、注射室のベッドで少し休みましょうかね」2階廊下の鏡の前で髪を整えている原告に対し「大丈夫ですか。下で休みますか」と声をかけている以上のように、睡眠導入剤の使用に関して説明義務違反はない裁判所の判断ドルミカム®の使用時間、ドルミカム®とアネキセート®との効用時間の関係、本件事故の時間・態様からすると、胃カメラ検査の際投与されたドルミカム®の影響によって起こったものと推定できる。その際担当医師らスタッフが胃カメラ検査に際して使用したドルミカム®などの薬剤の効用について、自動車運転に意識した説明をしていたとしたら、少なくとも胃カメラ検査当日、自ら自動車を運転して本件病院を訪れた可能性は少なく、もし自動車で来院したとしても病院内でもうしばらく休んでいたことが窺える。したがって、病院側の説明義務違反により起きた交通事故である。原告側1,261万円の請求に対し、607万円の判決考察上部消化管内視鏡検査を施行するにあたっては、苦痛のない内視鏡検査を目指して鎮痛、鎮静(ペチジン、ジアゼパム、フルニトラゼパム、ミダゾラムなど)を積極的に使用する施設と、これら薬剤による副作用(呼吸抑制など)を心配し副交感神経遮断薬のみで行う施設があります。なるべく薬剤を使用しない理由の一つとして、薬剤を使わないで検査を遂行することが、優れた検査技術を有していることの証明であると考える内視鏡医が多いという背景もあるようです。今回事件が起きた病院では、積極的に鎮静薬を使用する方針でした。ところが、病院の場所が少々不便であったため、患者は自分で自動車を運転してくるか、あるいは第三者に自動車に乗せてもらって来院することが多かったとのことです。そうすると、内視鏡検査で麻酔薬を使うとすれば、十分に麻酔から覚めてから帰宅を指示しなければなりません。そして、裁判でも、病院側は十分に説明義務を果たしたと主張しましたが、残念ながらそのような説明は記録に残っていないため、結局のところ「言った言わない」の争いになってしまったようです。その後この施設では、内視鏡検査の予約を受け付ける際の手続を以下のとおり変更しています。外来予約の時点で睡眠導入剤を希望するか否か確認をするその説明を患者にしたことの確認を患者に署名をしてもらう睡眠導入剤を希望した患者には、自動車で帰宅することをやめてもらう予約表には、従前の検査前日の食事に対する注意書きのほか、睡眠導入剤を希望した患者には、自動車で来院することをやめてもらう旨の記載を追加するやはりこのような説明は、きちんと文書で残しておかないと、本件のような検査終了後の自動車事故、あるいは転倒・転落により傷害を負った場合には、病院としての説明義務を果たしたか、安全には十分に配慮したかという点が問題になると思います。なお、ドルミカム®などベンゾジアゼピン系薬剤の拮抗薬としてはアネキセート®を用いますが、それぞれの薬の効用喪失時間から、一過性に拮抗効果がみられた後に再び鎮静効果や呼吸抑制が出現することがあることが知られています。したがって、アネキセート®投与後に患者が覚醒した後も、患者の意識レベルや呼吸状態を経時的に監視する必要があることは重要な点だと思います。消化器

10.

GABAA受容体修正にアリール・ピラゾール誘導体

 イタリア・チッタデッラ大学のMaria Paola Mascia氏らは、異なる分子構造(柔軟vs.制約的)で特徴づけられ、リモナバントやAM251と化学的結びつきのある複数のアリール・ピラゾール誘導体について、GABAA受容体機能の修正能力を調べた。結果、その構造特性により、GABAA受容体で異なる活性を示すことが明らかにされた。2014年6月15日号(オンライン版2014年4月1日号)の掲載報告。 研究グループはアフリカツメガエルの卵母細胞を用いて、複数のアリール・ピラゾール誘導体の組換え型α1β2γ2LGABAA受容体機能を修正する能力を調べた。2電極電圧クランプ法を用いて、6Bio-R、14Bio-R、NESS 0327、GP1aとGP2a(0.3~30μM)の影響について評価が行われた。 主な結果は以下のとおり。・6Bio-R、14Bio-Rは、GABA誘発Cl-電流を強化した。・NESS 0327、GP1aとGP2aは、GABAA受容体機能に影響を及ぼさなかったが、6Bio-Rに対して拮抗作用を有した。さらにNESS 0327は、リモナバントによって引き起こされるGABAA受容体機能の強化を阻害した。・ベンゾジアゼピン結合部は、これら合成物の活性に関与するように思われた。・たとえば、フルマゼニルは6Bio-Rによって引き起こされるGABAA受容体機能の強化を拮抗させた。NESS 0327はロラゼパム、ゾルピデムの活性を低下させたが、その一方で、“典型的”なGABA作動性修飾物質(プロパノール、麻酔薬、バルビツール、ステロイド)の活性を拮抗させなかった。・α1β2受容体において6Bio-RはGABA作動性機能を強化したが、フルマゼニルは、6Bio-Rにより引き起こされる活性を拮抗することが可能であった。・GABAA受容体でのアリール・ピラゾール誘導体の活性は、それらの分子構造に依存する。これらの合成物は、αβγ結合部位、γサブユニットを伴わないα/β部位の両部位に結合しており、抗けいれん効果を有する可能性がある薬剤構造の提供につながる可能性がある。関連医療ニュース 統合失調症の病因に関連する新たな候補遺伝子を示唆:名古屋大学 抗認知症薬の神経新生促進メカニズムに迫る:大阪大学 統合失調症、双極性障害で新たに注目される「アデノシン作用」  担当者へのご意見箱はこちら

11.

COPDとCOPD・喘息のオーバーラップはバイオマーカーで鑑別できるのか?

 気管支喘息を合併したCOPD(オーバーラップ症候群)ではCOPD単独の患者と比べて、誘発喀痰中の好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)が高いことが、広島大学・分子内科学の岩本 博志氏らにより報告された。The European respiratory journal誌オンライン版2013年6月21日号の掲載報告。 COPDと気管支喘息のオーバーラップ患者とCOPD単独あるいは気管支喘息単独患者との類似点や相違点を明らかにするため、4つのCOPDの潜在的バイオマーカー[肺サーファクタント蛋白質-A(SP-A)、soluble receptor for advanced glycation end-products(sRAGE)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)]を測定した。SP-AとsRAGEは肺細胞由来のマーカーであり、MPOとNGALは好中球由来の分子である(NGALは呼吸上皮細胞にも観察されうる)。 本研究の対象は非喫煙者(n=26)、喫煙者(n=23)、喘息患者(n=32)、COPD患者(n=39)、オーバーラップ患者(n=14)の134例であった。これらの患者の血清中のSP-AとsRAGE、喀痰中のMPOとNGALを酵素免疫測定法(EIA/ELISA)により測定した。 COPD患者とオーバーラップ患者では気管支喘息患者と比較して、喀痰中のMPOと血清SP-Aは有意に上昇していたが、血清sRAGEは減少していた。また、オーバーラップ患者とCOPD患者の比較において、オーバーラップ患者では喀痰中のNGALのみが上昇しており(p = 0.00016)、これにより両者を鑑別できる可能性があることがわかった。 喀痰中のNGAL上昇は、COPDと喘息のオーバーラップ患者に特有の特徴であり、これは好中球性気道炎症の亢進や気道上皮の傷害を示唆しているものと考えられる。

12.

超早産児に対するCPAP対サーファクタント、長期アウトカムも有意差みられず/NEJM

 米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のYvonne E. Vaucher氏らは、超早産児に対する早期の持続的気道陽圧法(CPAP)とサーファクタント投与の比較について、長期の死亡や神経発達障害のアウトカム改善に有意差がみられなかったことを報告した。また、酸素飽和度目標値の違いによるアウトカムについても、低目標値(85~89%)と高目標値(91~95%)間の有意差がみられないこと、および死亡率が低目標値群で増大傾向がみられたことを報告した。同研究グループは既存報告で、上記比較の短期アウトカム(死亡または気管支肺異形成症)について、CPAP対サーファクタントでは有意差がみられなかったことを、また目標値の違いでは低目標値群で網膜症発症と死亡率が増大することを報告していた。NEJM誌2012年12月27日号掲載より。18~22ヵ月までの死亡または同時点での神経発達障害の発生率を比較 研究グループは、在胎24週0日~27週6日で生まれた超早産児1,316例を対象とする無作為化試験を行った。一方の群には早期CPAPと限定的な換気療法による治療戦略を適用し、もう一方の群には早期サーファクタント投与を行った。さらに、各群を無作為に2群に分け、酸素飽和度目標値を85~89%(低酸素群)と、91~95%(高酸素群)にそれぞれ設定した。 主要評価項目は、18~22ヵ月までの死亡または年齢補正後18~22ヵ月時点における神経発達障害の複合アウトカムとした。アウトカムの有意差認められず 被験者のうち1,234例(93.8%)について主要複合アウトカム評価を行い、18~22カ月時点で生存していた1,058例については、990例の評価が行われた。 結果、死亡または神経発達障害の発生は、CPAP群621児のうち173児(27.9%)、サーファクタント群613児のうち183児(29.9%)と、両群で有意な差は認められなかった(相対リスク:0.93、95%信頼区間:0.78~1.10、p=0.38)。 また、目標値を比較した検討においても、死亡または神経発達障害の発生は低酸素群612児のうち185児(30.2%)、高酸素群622児のうち171児(27.5%)と、両群間の有意差はみられなかった(相対リスク:1.12、95%信頼区間:0.94~1.32、p=0.21)。死亡率は、高酸素群で18.2%に対し、低酸素群では22.1%と増大傾向が認められた(相対リスク:1.25、同:1.00~1.55、p=0.046)。

13.

レベチラセタムは末梢性の鎮痛・抗浮腫作用を示す

 セルビア・ベオグラード大学のRadica M. Stepanovic-Petrovic氏らは、ラット炎症性疼痛モデルを用いて、レベチラセタムの末梢局所における鎮痛・抗浮腫作用とその作用機序について検討した。その結果、レベチラセタムはオピオイド受容体、アドレナリン受容体、アデノシン受容体、5-HT受容体を介して末梢性の鎮痛作用を示すことが明らかになった。Anesthesia & Analgesia誌2012年12月号(オンライン版2012年11月9日号)の掲載報告。 本研究は、ラット炎症性疼痛モデルにおいて、レベチラセタムの炎症局所における鎮痛・抗浮腫作用ならびにその作用機序を検討することを目的とした。ラット足底(paw)皮下にカラゲナンを注射して炎症性浮腫を惹起させ、レベチラセタム(200~1,000nmol/paw)および各種受容体アンタゴニストの鎮痛作用を足圧痛法により評価した。さらに、レベチラセタムの浮腫に及ぼす影響を体積変動測定法により測定した。検討した各種受容体アンタゴニストは以下。オピオイド受容体アンタゴニスト:ナロキソン(75~300nmol/paw)、CTAP(1~5nmol/paw)アドレナリン受容体アンタゴニスト:ヨヒンビン(130~520nmol/paw)、BRL 44408(50~200nmol/paw)、MK-912(5~20nmol/paw)アデノシン受容体アンタゴニスト:カフェイン(500~1,500nmol/paw)、DPCPX(3~30nmol/paw)5-HT受容体アンタゴニスト:メチセルギド(10~100nmol/paw)、GR 127935(50~200nmol/paw)GABA受容体アンタゴニスト:ビククリン(400nmol/paw) 主な結果は以下のとおり。・レベチラセタムは、用量依存的かつ有意な疼痛閾値の低下、足浮腫抑制作用を示した。・レベチラセタム(1,000nmol/paw)の鎮痛作用は、GABA受容体アンタゴニストのビククリンで抑制されなかった。一方で、オピオイド受容体アンタゴニスト、アドレナリン受容体アンタゴニスト、アデノシン受容体アンタゴニスト、5-HT受容体アンタゴニストにより有意に抑制された。・ラットの対側後足にレベチラセタム、各種受容体アンタゴニストを投与した場合に効果が観察されなかったことから、これらの作用は末梢性であると考えられた。・以上のことから、レベチラセタムは末梢局所で鎮痛ならびに抗浮腫作用を示し、その作用はオピオイド受容体、アドレナリン受容体、アデノシン受容体、5-HT受容体を介したものであることが示唆された。レベチラセタムは、全身性の副作用および薬物相互作用の出現を低く抑え、炎症性疼痛を改善させうる。■関連記事とくにうつ病患者は要注意?慢性疼痛時のオピオイド使用レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー疼痛治療「プラセボでも一定の効果が」臨床試験に課題も抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証

14.

検証!「痛み」と「うつ」関係は?:山口大学

 末梢神経障害による気分障害を伴う神経障害性疼痛はQOLに影響を及ぼす重大な問題である。最近の研究では、大脳辺縁系の脳由来神経栄養因子(BDNF)の欠乏がpain-emotion(痛みの感情)を生じさせることが示唆されている。BDNFは4-メチルカテコール(4-MC)により培養神経細胞で誘発されるが、pain-emotionにおけるBDNFの役割は十分にわかっていない。山口大学 福原氏らは、BDNFが末梢神経障害後の慢性疼痛時に脳やうつ病様症状に対しどのように関与しているかを評価し、脳室内の4-MCが慢性疼痛を防ぎ、抗うつ効果を発揮するかどうかを検討した。その結果、BDNFの強化はうつ病を伴う慢性疼痛の新たな治療戦略となる可能性があることをCell Mol Neurobiol誌2012年8月号にて報告した。 PE-10チューブを脳室内に移植されたSDラットに対し、慢性狭窄損傷(CCI)を行った。痛みの指標として、Paw-Withdrawal-Latency(PWL)にてCCI後のマウスが熱刺激によって後肢を動かすまでの時間を計った。また、CCI後14~21日目まで強制水泳試験(FST)を実施しうつ病を伴う神経障害性疼痛モデルラットを作成した。痛みと情動行動の調節はPD0325901(MEK1/2インヒビター)の注射により行われた。CCI後14~21日目までの期間中に3日間連続で脳室内に4-MC(100nM)を投与した。4-MCの鎮痛効果および抗うつ効果を阻害するため、抗BDNF抗体またはK252a(TrkB受容体阻害薬)を4-MCと共に投与した。また、4-MCの鎮痛効果を確認するため、ナロキソンも同時投与した。主な結果は以下のとおり。・CCI後の慢性期において、うつ病様症状に関連したPWL(熱痛覚過敏)の持続的な減少が認められた。・PWL減少とうつ病様症状はPD0325901により有意に減少し、4-MCやERK1/2阻害薬による治療によっても減少した。・脳室内4-MCの効果は抗BDNF抗体、K252aにより逆転し、4-MCの鎮痛効果はナロキソンと拮抗した。・中枢神経系のpain-emotionネットワークにおいて、BDNFの欠如とERK1/2の活性化は慢性疼痛のうつ病様症状に関連している可能性が示唆された。・脳室内4-MCはBDNFを産生し、ERK1/2活性化を正常化することにより、慢性疼痛やうつ病様症状を改善する。関連医療ニュース ・難治性うつ病に対するアプローチは? ・うつ病予防には「脂肪酸」の摂取を ・高齢者のQOL低下に深く関わる「うつ」

15.

オピオイド依存症の治療には、ブプレノルフィンとナロキソンの長期投与が短期より有効

オピオイド依存症の治療には、ブプレノルフィンとナロキソンの12週にわたる長期投与のほうが、短期投与よりも効果的のようだ。米Pennsylvania大学のGeorge E. Woody氏らが、15~21歳のオピオイド依存症の152人について調べ、明らかにしたもので、JAMA誌2008年11月5日号で公表された。投与後4、8週目の尿中オピオイド検出率、長期投与群が有意に低率同氏らは、被験者を2グループに分け、一群にはブプレノルフィンを1日最大24mgまで、ナロキソンと一緒に9週間にわたって投与し、12週間までに徐々に量を減らし投与を中止した(長期投与群)。もう一方の群には、ブプレノルフィンを1日最大14mgまで、ナロキソンと一緒に投与し、14日目までに徐々に量を減らして中止した(短期投与群)。両群に対して、個人とグループのコンサルテーションが毎週行われ、4週目、8週目、12週目に、それぞれ尿中のオピオイドの有無が調べられた。その結果、4週目に尿中オピオイドが検出された割合は、短期投与群が59人と61%(95%信頼区間:47~75%)だったのに対し、長期投与群では58人と26%(同:14~38%)にとどまった。8週目の同割合も、短期投与群が53人と54%(同:38~70%)だったのに対し、長期投与群は52人と23%(同:11~35%)だった。12週目については両群に有意差はなく、同割合は短期投与群が53人と51%だったのに対し、長期投与群では49人と43%だった。治験終了後のオピオイド使用も長期投与群が低率短期投与群では、12週目に治療を継続していたのは20.5%だったが、長期投与群ではその割合は70%と高かった。そして12週間中、オピオイドの使用や注射剤の使用は、長期投与群で短期投与群より有意に少なく、治療離脱が進んでいることがうかがえた。また、治験を始めてから6ヵ月、9ヵ月、12ヵ月後にそれぞれ、尿中オピオイド濃度の検出割合を調べたところ、長期投与群のほうが低率である傾向が見られた。ただしその割合は両群ともに低くはなく、短期投与群で平均72%、長期投与群では同48%であった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

検索結果 合計:15件 表示位置:1 - 15